飛田新地の遊郭にて酒宴。あまりの豪華絢爛っぷりに酒が進む進む

2026年4月4日土曜日

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大阪有数の風俗街である飛田新地の周縁には以前にも行ったことがありましたが、飛田はあまりに現役すぎて、女が興味本位だけでうろちょろすると男性客側にもお店側にも迷惑になるため、あまり立ち入らない方がいいエリア
しかし今回は新地内にある建物で「ごはんを食べる」という目的があるため、ついに堂々と飛田新地に潜入できます。やったー!

こちらがお邪魔した料理屋さん「鯛よし百番」。大正時代に建てられた遊郭で、大阪大空襲の戦火をまぬがれたため、当時の妓楼建築を今に伝える貴重な歴史的建築物。なんと国の登録有形文化財
まず外観からしてすごい。店にたどりつくまでに無数の「ちょんの間」と呼ばれる小さな風俗店が並んでますが、遠目からでもこの建物の威容に目を奪われました。これは否が応でも気分が昂っちまう
しかも店のスタッフさんが我々を待ち構えていてくださって、さっそく館内をぐるりと案内してくださった。ぜひ建物のことをいろいろお聞きしたかったから、とっても嬉しい!

まずは玄関。ついこの前、福岡県の二字町遊郭で妓楼建築「一心楼」の内部を見学させてもらいましたが、書院造りをベースとした「一心楼」とはまた全然別種の華やかさ。「一心楼」は遊郭廃業後はアパートに、ここ「百番」は観光旅館に転業したからというのもありそう

玄関入ってすぐに、朱塗りの欄干で囲まれた小上がりがあり、かつてはここに女性たちの写真が飾られ、客が遊び相手を選んでいたとのこと
ガラスの反射で見えにくいですが、天井の細工が見事。ここ以外にも「百番」には大工さんの仕事っぷりが感じられる箇所があり、とにかくこだわりと金のかけ方がすごい

一階ロビー。もう完全に別世界に来たという感じ

大きな窓ガラスから眺められる中庭も情緒たっぷり

ロビーでひときわ目を引くのが、こちらの陽明門。わざわざ大工さんや絵師さんたちを栃木・日光東照宮まで行かせ、本物を見させてから造ったというこだわりっぷり

陽明門を通れば、中は豪華な待合室。ここで客が女性を待ったとのこと。ラブホの待合室のソファとか比べものにならんぞ。でもラブホの待合室ではたまにコーヒーやお菓子もらえるところあって嬉しいけど

天井も絵師さんによるもの。ここで客である男性たちは心臓を高鳴らせながら、目当ての女性を待ってたんやろな

内側から見た陽明門もすごい。両側には日光東照宮にならって、徳川家の葵の家紋。まさに客はお殿様気分を味わえる

待合室の奥側の天井も、ボロボロにはなってますがなんかすごい装飾。今は使われてないっぽいけど、昔はここもなんらかの空間作りがされてたんやろな

中庭向こうへの渡り廊下は、大阪人にはお馴染みの住吉大社かのような太鼓橋

そびえ立つ男岩と女岩。この巨石を先に設置してから、周りを取り囲むように庭を作り建物を建てたらしい
大きな妓楼建築には必ず中庭がある印象。奈良・洞泉寺遊郭の川本楼にも雅な中庭がありました。客同士が顔を合わせにくいように回廊になってるのも、遊郭の特徴

太鼓橋を渡った先にも、いくつかの立派なお部屋が

廊下の途中にあった出入り口、スタッフ用かな?欄間が船と波で美しい

奥の部屋でも別の予約があるみたいで、いいなーここの部屋でも宴会してみたい。なんかどえらい透かし彫りが見えてますし

廊下は狭くともきらびやか。このゾーンはわりと洋風な雰囲気。壁面の絵も洋風でした

何度見ても情緒ある中庭。今にも往時の賑やかな声や色っぽいささやき声が聞こえてきそう

で、ようやく二階へ上がりますが、なんと階段が京都の三条大橋。近藤勇の首がさらされたとことですねって危うく喉まで出かかった。親柱の装飾の見事なことよ


二階から見下ろすとこんな感じ。和モダンな雰囲気


二階は個室がずらっと並ぶ回廊になってますが、特筆すべきは、一部屋一部屋が「別の宿」というコンセプトになっていること。そのため一部屋ごとに「宿の玄関」みたいな造りがある


このように。表札に「お祭佐七」とあるので調べてみると、古典落語と歌舞伎に同名の演目があるようで、内容的には歌舞伎の方っぽい
ざっくりといえば、『江戸の鳶職人・佐七は、柳橋の芸者小糸と恋人同士。しかし二人の仲を引き裂きたい小糸の義母の策略にはまり、佐七は小糸を殺してしまう。やがて真相を知った佐七が仇を討つ』的なお話
柳橋の花街もこないだ行ったとこ!行ったことのある町の名前が出てくると嬉しい
江戸の男女の悲恋物語を冠するお部屋。ここで一夜を過ごす客と遊女も、悲劇の恋人関係を楽しむ趣向かな


どこのお部屋も出入り口から立派


宿場町的なイメージなのか、部屋と部屋の間には井戸っぽいものがあったり。館内でコスプレイベントとかあったらめっちゃ楽しそう


圧巻だったのはこの廊下!壁の立体感がすごい、情報量が多い


木の枝が壁に埋め込んである。すごい


どうやら東海道の島田宿を模しているようです。島田宿は静岡県・大井川沿いの宿場町。まさに大井川鐵道を乗りに行った思い出


ここの部屋がまたすごかった。大井川の川越えをイメージしてか、船の形をした座敷。以前は机があるところに布団が敷かれてたそう。現代のラブホでもたまにある、屋形船ベッドの元祖だ


欄間の細工がまたすごい。こだわりぬいてある


窓辺の建具も見事


照明で見えにくいですが、天井にはまさに大井川を越える人々の様子が彫られてました。風流〜〜


部屋の扉を開ければ、廊下の壁には東海道からのぞむ富士山。きっと夜な夜なこの部屋で、男が女を腕の中に抱きながら、いつかおまえに日本一の山を見せてやるよ…なんて寝物語していたにちがいない


中庭に面する廊下は見事なガラス張り


少したゆんで見える、古い手造りガラスです。味があって大好き


二階から眺める中庭。火灯窓がたまらない


回廊を進めば急な洋風要素も。和洋折衷っぷりがカオス


二階で一番広いお部屋。きれいにしていても経年劣化で部屋の角っこから沈み出していて、店の方いわく一番最初に崩れるだろうとのこと。それにしても窓の建具の素晴らしさったらない


床の間もあり、格式を感じる。こんなところで酒宴してみたいものです。畳が沈みかけてるけど


天井もこのとおり。東京・目黒の百段階段を思い出す


再び廊下に戻ると、鳥居が半分壁に埋まっていた。本当にどこを見ても飽きない


ちょっと休憩できる系のスペースから眺める中庭も素敵でした。こういう建物、今じゃ造ろうと思っても造れないから、保存してくださってるだけで本当にありがたい。保存されぬまま朽ちていく姿もまた美しいんですが


この日、天気悪くてけっこう雨が降ってて、空がけぶっており、それがまた雰囲気抜群


別の階段。二字町遊郭の「一心楼」もやけど、遊郭は本当にあちこちに階段があって迷路じみてて楽しい


こちらが今回お貸しいただいたお部屋。こんな情緒たっぷりな空間ですき焼きをいただけるとは


床の間や火灯窓も。また床柱がシャレとる


部屋の窓から見る景色。かつては周りにも「百番」のような妓楼建築が立ち並び、夜な夜な明かりを灯していたんやろな


現代に生き残った遊郭でいただく酒は格別でした。また他のお部屋もお邪魔してみたい

ちなみに同じく飛田新地に残る妓楼建築で今は廃屋となっている「満すみ」の写真が掲載された取材記事VR再現サイトを発見
「百番」ほどの規模ではないものの、ここもやはり二階の個室にいちいち玄関ぽい造りがしてあったり、風情ある豆タイルや丸窓が残っていたり、見事な内装。いつか中に入れる機会があればいいな
しかし場所柄、誰でも気軽に行けるとこではないので、こうして写真やVRで残していただけるのもありがたいこと

おしまい

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