元は遊郭だった妓楼建築で、今はお宿になっているところが日本全国にいくつかあるんですが、そのひとつが京都にありまして見に行ってきました
いきなり遊郭とは無関係の樋門からスタートしますが、めちゃくちゃ立派な治水設備やなぁと思って目を奪われてしまった。このあたりは木津川、宇治川、桂川の3つの川が合流する地点で、江戸時代から水害が多発し、樋門が築造されたものの、昭和期にも台風による増水被害があったそう。それで今の立派な鉄製に生まれ変わったとのこと
ちなみに現在は大阪府枚方市と京都府八幡市の境界であるこの地、かつての河内国・山城国・摂津国の三国合流点であり、大坂と京都を結ぶ古道・京街道が通っています
その京街道沿いにあるのが、今回訪れた橋本遊郭。隣駅に位置する石清水八幡宮の参拝客たちや渡し船の客たちで賑わい、街に「男の川」ができたと言われるほど活気があった遊郭で、幕末の鳥羽・伏見の戦いで焼けてしまったものの明治期に復活、京阪電車が開通したことでより一層と客が運ばれてきたのだとか
最盛期には約90の貸座敷に娼妓600人をかかえ、昭和恐慌で疲弊した農村などで身売りを余儀なくされた女性が多く働いた、とのこと
橋本湯と書かれた立派な瓦がかっこいい、おそらくかつてのお風呂屋さん。遊郭のお客さんたちも使っていったのかな
瓦もかっこいいし、玄関戸の上の細工もかっこいい。あきらかに廃墟でしたが外観はきれいだったので、何かに活用できたらいいんですが。私に風呂屋をできるスキルと学と財力があれば、お風呂屋さんとして復活させたい…
二階や玄関の雰囲気からして、元妓楼を改築したっぽいビューティーサロン
側面を見ると、ポップなデザインの出窓が。うーっ内部を拝見したい
八幡市のマンホールは、市花のサツキ。こういう一種の草花だけが群生してる系のデザインって、結構めずらしいかも
木製電柱に植物が絡み付いてもはや別の生命体になりつつある
二階もいいですし、一階の窓に使われているガラスもとても良い
こちらは歩いて見て回った中でも最大規模だった立派な建物
建物の裏側を見てわかるデカさ。三階まであるっぽい感じ
見えづらいですが、二階の欄間の意匠も見事。雨樋やランプ傘の銅板もいい味出してる。外壁がところどころ剥げ落ちてるけど、もとは銅板の緑青ときれいなコントラストを成す鮮やかな朱色やったんやろな
豆タイルも玄関タイルもぬかりなく凝ったデザイン
このあたりがおそらく遊郭のメインストリート
こちらが現在は旅館となっている妓楼建築
そのお隣りもすばらしいです
女性をかたどったステンドグラス。こんなの他で見たことない。大興奮
玄関のこの感じ。斜めになった勝手口っぽいのとか最高ね
奈良の洞泉寺遊郭がそうでしたが、お客さんと家の人間が出入りする戸口が分けてあったのかも
こちらも改装されて、今は中国茶が楽しめるサロンに。やはり欄間のデザインがすごい
この道がかつては「男の川」となってたんやろなぁなどと想像しつつ
向かい側にもこれまたおっきい建物
やはり窓のデザインが凝ってる
玄関脇の電灯も豪華。木枠のすみにだけ銅板を配したデザインがニクい
もうひとつの玄関口の屋根も凝ってます
ここも泊まれる転業旅館。私が行った時は明かりが点いてなかったので、てっきり廃業しはったんかと思ってましたが、レビューによるとまだ営業中とのこと。今度は橋本遊廓で泊まっていきたい、夜の光景が見たい
こちらにもおもしろいデザインのステンドグラス
通りの角にある建物もこれまた立派
建具の意匠がどれもすごい
側面から見るとこちらにも出入り口があって、ほんとおもしろい造り
どんつきにあった元医院は半壊してました
川側から眺めると、自然の侵食っぷりがよくわかる
今歩いてきた通りを川側から。いまは緑が繁茂してるけど、もっと水量があったのかな
栄橋と呼ばれるこの短い橋のそばに、かつて対岸の山崎と渡し船で行き来した渡し場があったとのこと。この橋が遊郭と俗世の境界になってたんやろな
立ち入りできないようになってた建物ですが、見える部分だけでも入り組んだ造りとわかる
細い道にも良き建物が
こちらも可愛い豆タイル
屋号の見せ方がかっこいい
近くには小さな神社が。狛犬があるらしいんですが、完全に草木に埋もれていました。Googleマップによると「金刀比羅大権現神社」とのこと。詳しい由緒はわからず、世話する人がいないのか、拝殿もかなり荒れてました
あれは!トトロで出てくる手押しポンプ!
さて川沿いに歩き、隣駅の石清水八幡宮を目指していた途中で、でっけぇ廃墟を発見。Googleマップによると、かつてホテルだったようです
敷地内に放置されたベンツが、すっかり草に埋もれつつある
屋根の上の構造物は、おそらくホテルの名前が書かれた看板やったんかな
こんなに巨大な廃墟は、都会ではなかなかお目にかかれないので興奮を隠せません。大阪の東梅田にずっと廃墟なのかどうかわかってないドデカ廃ラブホはあるけど
中は天井が抜けてる様子。入ってみたいなぁ〜〜〜
もう少し歩いた先には、取り壊し中の廃アパート群が
せっかくここまで来たので石清水八幡宮にもお参りして行こうと思ってたんですが、あんな山の上にある神社とは知らなくて。まさかケーブルカーで登るほどの山とも知らなくて。今日中に京都市の方にも行きたかったから、お参りは次回としました
というわけで京阪電車に乗って、京都市内の清水五条へ。時刻はすでに16時すぎでしたが、昼飯を求めてググっていると、ヒルトンホテル経営のレストランが利用できると知り、迷わずGO。短パンにサンダルという軽装だったので、もしやドレスコードに引っかかるのではと心配でしたが、ホテルのお客さんがほとんど外国の方でめちゃ軽装だったので、難なく入れました。ラッキー!
外国の方々向けのジャパニーズハイソなレストランというかバーのあるロビーで、牛肉のハンバーガーをいただきました。美味しかったぁ…あふれ出す肉汁ぅ……
京都はなぜか美味しいハンバーガー屋さんが多いです。あとラーメン。京都来たらぜひハンバーガーかラーメン食べてください
わざわざ京都市内まで北上してきたのは、もうひとつの旧遊郭・赤線跡地を見るため。ヒルトンから鴨川を渡った南西側に、かつて五条楽園と呼ばれた遊郭が存在していたとのこと。このあたりは平安時代末期ごろから、五条新地、六条新地、七条新地と遊郭が隣りあっていて、大正時代に合体したらしく、芸妓と娼妓が混在する花街だったと。最盛期にはお茶屋250軒、娼妓1000人程の大歓楽街だった様子
こちらの建物は、カフェー建築をそのままにリノベして、バーやお店になっています
なかなか他にないおもしろい意匠。丸窓はステンドグラスになってるようです
こちらもまた趣のある建物、っていうか屋根の上に右目の室外機がありますね!レアキャラだ
こちらも豆タイルと玄関タイルが可愛らしい
この辺りの建物は、飲食店やコワーキングスペースにリノベされています。さすが京都駅にも程近い街中だけあって、今も活用されている妓楼建築が多い
こちらもカフェー建築っぽい建物
全体にアールを活かしたモダンな雰囲気。二階の窓辺の円柱っぽいデザインもおもしろい
唐破風を模した風格のある建物も。この白い正方形に店名だけが書いてある看板は、大阪の飛田新地や松島新地と同じ。なんか決まりでもあるんやろか
ひときわ異彩を放つでっけぇ〜建物、五条会館。かつては芸妓や舞妓が、歌や舞を練習したり発表したりする場所だった「歌舞練場」で、花街には欠かせない存在だそう。1917(大正6)年築というから、すでに100年を超えています
本当に圧巻。めちゃくちゃでかい。おそらく増改築を繰り返したんやろなって感じがまたたまりません。左手奥の土壁っぽい部分なんかとくに
築100年以上の木造建築となれば耐震性やら耐火性やら、いろいろ課題があるでしょうけど、可能な限り残っていけばいいなぁ〜そして内部見学させてほしいなぁ〜という気持ち
土地の境界に沿ってパンパンに建てられてる感じ、良いですねぇ
このへんの区画は個々の建物を含め、街並みそのものがたまらない
この路地!最高です
こちらもお宿にリノベされた建物
立派な玄関。ガラス張りの二階がまた良い雰囲気
別角度から。素敵な意匠の丸窓
ここはご飯屋さんかバー?に改造されてました。猫の看板がかわいい
これまた二階の手すりが良いですねぇ〜
こういう不規則な形に大変キュンとくる
こちらは二階の鮮やかな板が気になった建物。銅板かな?緑青ができてってるとこなんやろか。おもしろい。私も緑青を育てたい
そんなエリアでまた全然違った存在感を放つのが、こちらのホテル丸福樓。任天堂の旧本社社屋に、安藤忠雄による新設計が加わった建物とのこと
かつて花札やトランプといった玩具作りから始まった任天堂の歴史を感じられます。壁のブロック感もかっちょいい、クッパ城みたい
どのへんまでが旧社屋のままで、どこからが安藤忠雄の新設計なのかわからんぐらい融合しててすごい。泊まってみたーい!
橋本遊郭もそうですが、遊廓という場所はどうしても薄暗い負の歴史といった側面が付きまとうため、地域住民にとっては忘れたい記憶であり街から消し去りたいと考える方々もいらっしゃって、一方で遊郭があったことも妓楼建築もその街の歴史であり文化のひとつとして保存・継承し、活用していこうとする方々もいらっしゃる、任天堂がわざわざこの地でホテルを開業したのも地域活性化のためというのもあったり。いろんな想いがあるとは思いますが、私としてはこうして残していってくださるのは本当にありがたいし、時とともに風化して失われてしまうのも、また歴史だと思うので
ところで丸福樓のとなりに、なんか激シブな診療所があるなと思ったら「眼科・外科医療器具歴史博物館」とのこと
むちゃくちゃいい建物!右上あたりの構造たまりませんどうなってんの…?階段の途中に窓があるのかな。中を見学したかったけど、事前予約制でした。開館日は水曜日、予約は2週間前に。よし、覚えておこう
他にもたくさん趣ある古い家屋が残っています。ナショナルの看板といい、うすらと残るラジオ店の文字といい、うっとりする
おしまい
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