芦屋の建物と紅葉散策

2023年12月3日日曜日

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兵庫県芦屋市といえば高級住宅地で有名ですが、逆に訪れる機会もなく、いつも新快速でぶっ飛ばして通過してた土地です。ちょっと立ち寄る機会があったので、ちょうど紅葉シーズンということもあり芦屋の建物と景色を楽しんできました
マンホールは海岸沿いの街らしいクロマツ。シンプルながら手前と奥の枝で遠近感をつくりだすナイスなデザイン

高級住宅地のイメージ通り今風のハイソなマンションやドデカい個人邸宅が目立ちますが、こういうレトロな建物もけっこう残ってました。この建物は2棟を空中廊下でつないだみたいな構造で、真ん中の通路奥の中庭にも店舗っぽいものがあって、大変心惹かれる雰囲気

芦屋川に沿って北上していくと、水害の碑が。昭和13年に起きた災害で、土石流によって家や橋が流されたり浸水被害が起きて、一帯の都市機能が麻痺したとのこと。ここらへんの地域でそんな大きな水害があったなんて知らんかった

現在の芦屋川はこのように穏やかな流れ。急峻な山からくだってくるためか、水がとてもきれい。石垣で段々にしてあるのも水防とか土石流を防ぐ砂防のためなんかな。いっぺん水防のプロと京阪神の街歩きをしてみたい

そんな川沿いから臨む高台に、目指す建物がありました。画面右上、木々に埋もれるようにして建つクリーム色の建物です

ほぼ壁といっていい、えげつない坂道をのぼって辿り着いた「ヨドコウ迎賓館」。フランク・ロイド・ライトという有名なアメリカ人建築士による設計で、もとは灘五郷の造り酒屋「櫻正宗」の八代目当主・山邑太左衛門の別邸として建てられたんだとか

現在の所有者は淀川製鋼所。社員寮として使っていたこともあるそう

奥へと歩いていくと、木々の合間から建物がその姿を現します


崖の上にそびえるようにして建つ立派な玄関口

装飾といい石材を使ったデザインといい、なんというか古代の神殿のような雰囲気があります。かっこいい
石は栃木県産の大谷石。前に栃木県にある大谷資料館っていう、採石場跡地を使った巨大な地下空間に行ったことがあって、まるで幻想水滸伝とかFFに出てくる石の神殿遺跡みたいでめちゃくちゃ感動したんですが、石材を栃木県から兵庫県まで運ぶなんて改めてすごいなと

下の空いた部分は車寄せ。かつてこの邸宅に車で訪れた人たちも、さっそく感嘆の息を吐いたことやろな

ところどころに緑青の銅板を配したデザインが美しい

車寄せの奥にはちょっとしたテラスがあって、海に向かって芦屋の街並みを一望

内装にも石材が使われ、壁は幾何学的にヘコんだデザインになっていて、華美じゃないのに細部に凝ってる感

開放的な応接室には窓辺の紅葉が映える。夏の緑の景色もきれいやろうな
建築家のライトは日本における湿気への対策にけっこう気を遣っていたらしく、天井近くに窓をたくさん設けて風通しを良くする工夫をしていたそう。おかげでより開放感があります。冬場の寒さがハンパなさそうですが

ご安心ください、寒さ対策にしっかり暖炉も設置。石と木による幾何学デザインがかっこいい

わかりやすい建物模型。こんな感じで山の斜面に沿って建てられているため、建物自体は四階建てですが、少しずつ階段状に上階へつながっていくスタイル。こういう自然地形を活かして設計するのもライト建築の特徴なんだとか


建物に合わせて作り付けの家具が設置されてるので、内装全体にも統一感があります。これはライト自身が設計したランプ

階段を上がるたびに別の表情が見えてワクワクする

廊下一面の窓に広がる紅葉の景色。季節を感じられる借景スタイル

こんな風に半分上がったり下がったりする迷路みたいな構造で、大変楽しい

和の建具と緑青の銅板がマッチして個性的なインテリアに

カーペット敷きと地続きの和室

欄間にも銅版が使われてます。おもしろい、こんなデザインは他で見たことがない



当初ライトの設計プランでは洋室しかなかったけど、依頼者からの強い要望があって、ライトの愛弟子である日本人建築家たちが和室を設計に入れ込んだらしい。愛弟子たちは主任設計士と依頼者との間に立って、いろいろ苦労したやろな…などと勝手に空想しました

「重要文化財につき座らないで下さい」とかいうパワーワード

和室から廊下を眺めた景色は、もはや絵画

3階と4階につながる廊下。やっぱり迷路感があって楽しくなります



風呂場の窓辺さえ美しい

天井の謎の出っ張りも幾何学的

使用人の部屋。狭いながらも景色は抜群です

建物裏側につながる勝手口は、やっぱり寒さ対策のためか二重扉

執務室っぽい部屋。ここの椅子は座ってOKだったので座ってみたんですが

こんなところで物思いに耽りながら書き物したい…と思わせてくれる空間。前に石川県の山代温泉にある北大路魯山人の寓居跡に行った時、雪見窓のそばに文机と火鉢が置いてあって、ここで書き物するの最高やろなと思ったんですが、同レベルの良さがあります

こちらにもやはり立派な暖炉



この迷路感。もはや忍者屋敷。最高です



一番上の4階にはダイニング。欧米では家族や客人と食事をとる場所というのが重要視されていて、この空間もライトのこだわりがたっぷり


こうした木枠は構造的にはなんの意味もないらしく、完全に装飾としての役割とのこと


このランプもライト設計

食堂奥のキッチンも、家具や窓枠にこだわりを感じます

ダイニングからは屋上に出ることができて、目の前に青く光る神戸港の景色が広がります


色づく山々も

煙突の上部にも幾何学デザイン

やっぱり神殿っぽく見える。山の中に眠る古代遺跡とかそういう雰囲気



現在の所有者である淀川製鋼所にとっては、維持費がかかって正直儲けにはならないし、マンションへの建て替え計画もあったらしいけど、現存する貴重なライト建築であり、儲けにはならなくてもこういった文化芸術的価値のあるものを後世に残していくことも企業の使命として、大切に整備し保管されているとのこと。いろんな方々の努力によって、今もこういう美しい建物を見れることに感謝しかない

動画でのルームツアーもどぞ

近くの芦屋神社の紅葉もきれいと聞いていたので、行ってみるかと軽いノリで歩き始めたら、えらい目にあった。とんでもねぇ傾斜の坂道をぐねぐねと歩き、小雨も降り出してアーもう無理かもと心折れかけながらも、根性でなんとか辿り着きました

しかも神社に着いたら雨がやんで晴れるという。がんばったご褒美かな。ありがたい

色づいた木々と立派な拝殿。この季節だけ見れる特別な景色

最初「茅の輪」が祀られてるのかなと思ったら遥拝所とのこと。伊勢神宮とか遠方におられる神々に参拝する場所らしい。便利なシステム

七五三で賑わっていた拝殿とは異なり、境内社は静かなで落ち着いた雰囲気

考えてみれば日本は都市部や住宅街でも、こういう神社の境内とかで自然を浴びれる空間があるからいいですよね

昔は天神社だったという名残か、天神様を思わせる牛と梅の紋が

それにしても見事な紅葉。まさに燃えているよう

駅前に戻るついでに阪急線もJR線も越えて阪神線の打出駅まで歩き、商店街内にあった激シブ喫茶店で茶ぁしばくことにしました



なんともオシャレな照明

この銅板っぽいテーブルもかっこいい。サイフォン式コーヒーをゆっくりといただき、さて帰るかと店を出て歩いてたら、マフラー忘れてましたよと店員さんが追いかけてきてくださって、大変ご迷惑をおかけしました。忘れ物、失くし物が無事に返ってくるありがたさをしみじみ感じました…ありがてぇ…

おしまい

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